応援ナースとして北海道へ行くと決めたとき、楽しみな気持ちと同じくらい、不安も感じていました。
初めての土地での生活に、慣れない環境での仕事。さらに猫2匹を連れての長距離移動と、不安要素は山ほどありました。
そして追い打ちをかけるように、出発直前には現地で大きな地震があり、「こんな状況で本当に行って大丈夫なの?」と何度も考えました。
それでも、病院からは「ぜひ予定通り来てください、お待ちしています。」と連絡をいただき、その言葉に背中を押されました。
「今行かなかったら、きっと後悔する」
という気持ちと共に、新しい何かが始まるような、少しワクワクする感覚がありました。
実際に行ってみると、大変なこともありましたが、それ以上に得られるものも多く、「行ってよかった」と心から思えています。
この記事では、応援ナースとして北海道で働いた実体験をもとに、現地での生活や仕事、感じたことをまとめています。

北海道を選んだ理由
前の記事でも書きましたが、応援ナースを選んだきっかけは、働き方を変えたいと思ったことや、自分のペースで長期休暇を取りたいと考えたことが大きかったです。
その中で北海道を選んだのは、これまでの経験を活かせる分野での募集があり、ペット可という条件も満たしていたこと、そして一度は行ってみたいと思っていた場所だったからです。
実際に決めるまでは迷いもありましたが、このタイミングを逃したくないという気持ちが強くなり、北海道へ向かうことを決めました。
※応援ナースを選んだきっかけについては、こちらの記事で詳しく書いています。
寮生活と日常
寮の設備と住み心地
北海道らしく、寮の部屋は二重サッシと大きなストーブが備えられていて、冬でも暖かく過ごすことができました。

生活に必要なものは一通り揃っていて、大型家電やベッド・布団はもちろん、箸やお皿まで用意されていたのは本当にありがたかったです。
建物の築年数はかなり経っており、これまで比較的新しめの物件を選ぶことが多かった私にとっては少し不安でした。
ただ、実際に暮らしてみると不便に感じることはほとんどありませんでしたし、「どんな環境でも生活できる」という自信にもつながりました。
また、北海道の冬は厳しく、水道管の凍結を防ぐためにストーブはつけたままにしておくよう言われました。
猫もいたので火事が心配でしたが、正しく使えば問題ないとのことで、実際に過ごしていても危険を感じることはありませんでした。(設備や条件により異なる可能性があるため、確認しておくと安心です)。
そのおかげで、人生で一番暖かい冬だったと感じるほど快適に過ごせました。
北海道は冬でも室内で半袖・短パンで過ごせると聞いたことがありましたが、本当に半袖・短パンで過ごせました。
ただし、灯油代はかなりかかりましたが…。
※寮の設備や条件は、派遣会社や勤務先によって異なりますので、「家具・家電はどこまで揃っているのか」「生活用品は含まれるのか」といった点は、事前に確認しておくと安心だと思います。
私の場合はペット可という条件だったため、一般的な寮とは少し違った形で用意していただいた可能性もあります。
猫たちの様子
猫たちの健康状態や、新しい環境に馴染めるかどうかは、特に心配していたことのひとつでした。
しかし、その心配は杞憂に終わりました。
最初は警戒して部屋の中をひと通り探検していましたが、すぐに慣れ、2匹でくつろぐ様子が見られるようになりました。
大きめの窓が多く、外を眺めたり日向ぼっこをしたりと、その姿にこちらも癒されていました。
寒くなってくると、ストーブの前はすっかり猫たちの特等席に。
これまでは寒い時期になると一緒に布団で寝ていましたが、ここではほとんどベッドには来ませんでした。
また、食欲も増し、帰る頃には来たときより少し丸くなっていました。
なお、長距離の移動や環境の変化もあったため、念のため近くの動物病院も早い段階で確認しておきました。
夜間対応の有無や寮からの距離、口コミなどを事前に調べておいたことで、安心して過ごすことができました。
結果的に、動物病院にお世話になることは一度もなく過ごせたので、何よりでした。
通勤と日々の暮らし
私が働いていた病院は、寮から徒歩5分ほどの場所にありました。
その近さもあって、最初のうちは徒歩で通勤していました。
ただ、冬になると道路が凍結するようになり、同僚から「転んだら骨折しちゃうから、どんなに近くても車でおいで」と言われ、途中からは車で通うようになりました。
氷点下の日は、空気が刺さるように冷たく、息をするだけで気管が凍りそうな感覚でした。アイスバーンの日は本当によく滑って、怖くてすり足で歩いていたのを覚えています。
1日の流れはシンプルで、朝起きて支度をしてそのまま出勤。昼食は病院の食堂で済ませて、仕事が終わればそのまま帰宅、という規則的な生活でした。
夕食は自炊する日もあれば、お弁当やお惣菜で済ませる日もあり、その日の疲れ具合や気分に合わせて無理のないようにしていました。車で大型スーパーにも行けましたし、徒歩圏内にコンビニもあったので、生活に困ることはほとんどありませんでした。
寮ではインターネットも使えたので、夜はSkypeで英会話をしたり、テレビを見たり、読書をしたり、猫とまったり過ごしたりしていました。わりとゆったりした時間でしたので、今思うと、あの時間は自分なりにリフレッシュできていたのかもしれません。
休日の過ごし方
休日は、気になっていた場所へ日帰りで出かけることが多く、行ってみたいと思ったところにはできるだけ足を運ぶようにしていました。
移動距離は500km以上になることもありましたが、北海道の景色は見ているだけでも感動の連続で、長距離の移動もあまり苦には感じませんでした。
美しい景色を見つけては車を停めて写真を撮ってしまい、予定通りの時間に目的地に着けないことも多々ありましたが、予定通りにいかないことも旅の醍醐味。
「これが自分らしいな」と思いながら、移動そのものも含めて楽しんでいました。
猫がいたこともあり、基本的にはすべて日帰りでの外出でしたが、それでも北海道の広さや自然の魅力を十分に感じることができました。
限られた時間の中ではありましたが、とても充実した休日を過ごしていたと思います。
北海道で訪れた観光地については、別の記事で少しずつまとめていこうと思います。
北海道生活での暮らしで感じたこと
良かったこと
北海道での生活で一番印象に残っているのは、やはり自然のスケールの大きさでした。
少し車を走らせるだけで、広大な景色や美しい自然に出会うことができ、何気ない移動の時間さえも特別に感じられました。
思わず車を停めて写真を撮りたくなるような景色に何度も出会い、そのたびに「来てよかった」と感じていました。
また、冬の北海道での生活を実際に経験できたことも、大きな収穫のひとつでした。
大きな不安要素だった寒さについても、実際に住んでみると想像していたほど厳しさを感じることはなく、住環境が整っていたこともあり、快適に過ごすことができました。
ただ、雪まつりなどで長時間屋外にいる場合は別で、靴用カイロや貼るカイロをいくつも使ったり、厚手のインナーを重ねたりと、しっかりとした防寒対策が欠かせませんでした。

心配していた冬の車の運転についても、赴任先が降雪量の少ない地域だったこともあるかもしれませんが、除雪が行き届いていて運転しやすく、安心して移動することができました。
ちなみに、スタッドレスタイヤは安心を買うつもりで、性能の良いものを選びました。
また、道路が広く走りやすかったことや、高速道路でも無料で利用できる区間があることなど、車での移動のしやすさも印象に残っています。
さすが北海道だと感心することも多く、快適に過ごすことができたのは、貴重な経験だったと感じています。
休日には気になる場所へ足を運びながら、北海道のさまざまな景色や空気に触れることができ、この働き方だからこそできた過ごし方だったと感じています。
気づきや戸惑い
一方で、生活してみて戸惑うことや、気をつけなければならないと感じたこともありました。
まず、自然の多い地域ならではかもしれませんが、鹿の飛び出しには注意が必要でした。
実際に衝突すると車が大きく損傷することもあると聞き、運転中は常に気を配るようにしていました。
葉物野菜や果物、輸入食品などは、本州と比べるとやや高く感じることがありました。
離島ということもあり、物価についてはある程度仕方のない部分だと感じています。
通販を利用する際には追加の送料がかかることもあり、本州にいた頃のように気軽に注文することが難しいと感じる場面もありました。
これまでは送料無料の範囲でこまめに買い物をしていましたが、北海道ではなるべくまとめて購入するようになり、買い物の仕方も変わっていきました。
冬場は灯油を切らさないように気をつける必要があり、これまでの生活にはなかった意識も増えました。
それでも、こうした戸惑いや不便さも含めて北海道での生活であり、振り返ってみると、それ以上に得るものの多い時間だったと感じました。
初めての応援ナースで感じたこと
初めての応援ナースということで、即戦力として動けるのか、人間関係はうまくいくのかなど、不安はたくさんありました。
技術に関しては、これまでの経験の中で得意としてきた分野だったため、多少の余裕を持って臨めていたように思います。
また、以前は人見知りで環境の変化が苦手でしたが、一人旅や海外での経験を通して、「人間関係もなんとかなる」という感覚を持てるようになっていました。
不安と同時に、自分の技術や適応力がどこまで通用するのか試してみたいという気持ちもありました。
実際に働いてみると、スタッフの方々は応援ナースの受け入れに慣れている様子で、スムーズに迎え入れていただけたと感じています。
任されっぱなしになるのではという不安もありましたが、一つひとつ丁寧に教えていただき、安心して業務に入ることができました。
できることは率先して行い、分からないことはその都度確認できる環境だったと思います。
技術面では、基本的な流れは大きく変わらないものの、細かな違いを感じる場面が多くありました。
衛生面や安全面、効率の面で「こうした方が良いのでは」と思うこともあり、最初の頃は戸惑いやストレスを感じることもありました。
ただ、そのやり方によって患者さんに不利益が生じたり、業務に支障が出たりすることはなく、さまざまな考え方や方法があるのだと感じるようになりました。
これまで当たり前だと思っていたことが、必ずしも唯一の正解ではないと気づけたことは、大きな学びだったと思います。
人間関係については全体的に良好で、つらいと感じることはありませんでした。
応援という立場から期待されることもありましたが、それも含めて自分の役割だと受け止めていました。
一方で、職員同士の関係の中で、不満や愚痴を聞く場面もあり、距離感に悩むこともありました。
ただ、無理に同調せずにいることで、自然とそういった場面も減っていきました。
期間限定の関係だからこそ、自分のスタンスを保ちやすかったという点は、応援ナースの良さの一つかもしれません。
そして、この働き方だからこそ出会えたご縁もありました。
同じ系列の病院から応援に来られていた方で、多方面で活躍されているにもかかわらず、とても気さくで謙虚な、尊敬できる方でした。
一緒に働いたり、お話ししたりする中で、精神面でも大きな良い影響を受けたと感じています。
短い期間ではありましたが印象に残る出会いで、応援終了後も何度かお会いし、近況報告や情報交換をする関係が続いています。
こうした、普段の働き方では出会えない人と出会えることも、応援ナースという働き方の魅力の一つだと感じています。
まとめ
初めての応援ナースとして北海道で働いた経験は、不安もありましたが、それ以上に得るものの多い時間でした。
慣れない環境や生活の違いに戸惑うこともありましたが、その中で自分なりに適応し、新しい考え方や価値観に触れることができたと感じています。
猫と一緒に過ごしながら、休日にはさまざまな場所へ足を運び、その土地ならではの景色や空気に触れられたことも、かけがえのない経験になりました。
この働き方だからこそ出会えた人や経験があり、自分の中の視野が少し広がったようにも思います。
不安があっても、実際に動いてみることで見える景色がありました。
これからも、自分にとって無理のない形で、働き方や暮らし方を選んでいけたらと思っています。
この経験が、同じように環境を変えることや新しい働き方に迷っている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。

